どうも、Kazuです。
障害福祉サービスを3事業運営している。
鳥取県で、生活介護・放課後等デイサービス・グループホーム。
重症心身障害の利用者を支えている現場です。
その経営者から届いた依頼は「業務一気通貫アプリを作ってほしい」だった。
でもチームが最初に見つけたのは、アプリ以前の問題でした。
今回の公開実演企画 第5弾は、そういう話です。
Kさんの状況
Kさんは鳥取県で障害福祉サービスを3事業運営している方です。
生活介護事業(重症心身障害児者・区分6対応)。
放課後等デイサービス事業。
共同生活援助事業(グループホーム)。
区分6というのは、障害福祉で最も手厚い支援が必要な区分です。
バイタル、医療的ケア、表情、姿勢、呼吸——
微細な状態観察を毎日記録しなければならない。
Kさんから届いた依頼は
「業務一気通貫アプリを作ってほしい」でした。
記録、シフト管理、加算計算、請求
全部をひとつのアプリで動かしたい。
ただ、僕のチームが最初に見つけたのは
アプリを作る前に解決すべき問題でした。
16名のAIエージェントチームが動いた
僕はKさんの依頼に対して、16名のAIエージェントチームを編成しました。
5つのフェーズに分けて実行しています。
フェーズ1(5名)— 制度・業界リサーチ
障害者総合支援法(障害者を支援する法律)と児童福祉法の制度調査担当。
令和8年度報酬改定の影響分析担当。
鳥取県独自の補助金・地域特性の調査担当。
既存の福祉ソフト(ほのぼのNEXT・HUG・カイポケ等)の比較分析担当。
区分6特有のアセスメント(状態観察記録)の構造分析担当。
5名が、制度と現場の全体像を同時に調べます。
フェーズ2(3名)— 業務フロー分析
生活介護事業の業務フロー担当。
放課後等デイサービスの業務フロー担当。
グループホームの業務フロー担当。
3事業を横断して「どこに重複があるか」「どこがボトルネックか」を可視化します。
フェーズ3(4名)— 戦略・設計
記録業務の効率化設計担当。
加算・補助金管理の自動化設計担当。
職員採用・定着戦略の設計担当。
月商拡大・利用者獲得の戦略担当。
「記録を変える」「お金の取りこぼしを防ぐ」「人が辞めない仕組みを作る」の3つを同時に設計します。
フェーズ4(3名)— コンテンツ生成
採用・ブランディングの発信戦略担当。
福祉×AI活用のnote記事10本の執筆担当。
AI導入30日ロードマップの設計担当。
レポートだけではなく「すぐ使える発信コンテンツ」まで作ります。
フェーズ5(1名)— 品質管理・統合
全16名の成果物を統合して、矛盾や抜け漏れを修正。
規制業界の制度準拠チェックを通し、要件定義書と帳票を仕上げて納品。
見つかった核心的な問題
チームが最初に見つけたのは、依頼されたアプリ以前の問題でした。
現場の職員が、記録業務に潰されている。
区分6の利用者を支えるには、
バイタル、医療的ケア、表情、姿勢、呼吸——
微細なアセスメント(状態観察の記録)を毎日書かなければならない。
1人の職員が1日60〜90分を記録業務に費やしている。
3事業合計では、1日あたり数時間〜半日相当が記録に消える。
しかも書いているのは、PC操作に不慣れな現場の支援職員。
記録は法令義務なので省略できない。
「記録が終わらないから残業する」
「残業が続いてバーンアウトする」
「職員が辞める」
「採用しても続かない」
この悪循環が回っていました。
さらに、もうひとつ。
令和8年度の報酬改定で
処遇改善加算(職員の給与改善のための制度)の
要件が複雑化している。
手作業で管理していると、
計算ミス → 実地指導で指摘 → 返還請求
というリスクが常にある。
加えて鳥取県は独自の補助金制度がある。
申請要件も独自。
全部を把握して、全部を管理して、全部を記録する。
これを1人の経営者が手でやっていました。
チームが出した3つの答え
答え①:記録業務を「仕組み」で変えた
記録を省略するのではない。
法令で決まっている記録義務はそのまま。
変えたのは「入力の方法」「タイミング」「様式」の3つです。
支援中にスマホの音声入力でメモを残す。
支援直後にテンプレートに沿って記入する。
微細なアセスメント(表情・姿勢・呼吸の観察記録)をチェックボックス形式に変換する。
これだけで30〜50%の記録時間短縮が見込める。
そしてここが今までの公開実演と違うところです。
「紙に印刷して手書きで記入できる帳票」も作りました。
レポートだけ渡して「読んでください」では終わらせない。
PC操作が苦手な現場の職員が、
明日から使える「道具」を納品しました。
日次記録シート、アセスメントチェック帳票、夜間記録用——
全部、A4に印刷して手書きで使える設計です。
答え②:加算の「取りこぼし」を見つけた
これが即効性では一番大きい発見でした。
3事業それぞれに
「算定できるのに申請していない加算」が
存在する可能性が見つかった。
医療連携体制加算(看護師配置に関する加算)。
重度障害者支援加算。
常勤看護職員等配置加算。
処遇改善加算の上位区分。
取りこぼしている加算を正しく申請するだけで、
年間で数百万円変わる可能性がある。
チェックリスト1枚で「Yes / No / 確認中」をつけていけば
自分で診断できる形にしました。
答え③:「アプリを作る」前に「要件定義書」を作った
Kさんの元の依頼は「業務一気通貫アプリの開発」。
でも、アプリを作るには要件が必要です。
何の機能が要るのか。どの順番で作るのか。
要件定義書を作れば、
開発会社に持っていくだけで見積もりが取れる。
音声入力記録、バイタル記録、加算充当計算、シフト管理——
画面構成、データ項目、優先度まで全部入りの仕様書を納品しました。
「まず小さくノーコードツール(プログラミング不要の開発ツール)で試作して、
効果が確認できたら本格開発する」
という2段階アプローチも提案しています。
納品物は17点。全部公開しています。
今回の納品物を紹介します。
全資料はGoogle Driveで公開しているので、中身も見られます。
【Phase 1】制度・業界リサーチ(6点)
01. 障害福祉3事業 業界構造レポート
障害者総合支援法(障害者を支援する法律)と児童福祉法の制度体系、3事業それぞれの報酬構造・加算体系の全体像を整理。新しい職員への制度説明にも使えます。
02. 令和8年度報酬改定 影響分析
処遇改善加算(職員の給与改善制度)の月給充当要件がどう変わるか、Kさんの3事業への具体的な影響を試算。手作業管理の返還リスクを数字で示しました。
03. 加算取りこぼし診断チェックリスト
3事業×全加算の「Yes / No / 確認中」自己点検表。年間取得効果の目安額つき。チェックリスト1枚で今すぐ診断できます。
04. 鳥取県独自補助金一覧&申請要件マップ
申請可能な補助金の種類、要件、申請時期をマップ化。年次の補助金申請計画の立案に使えます。
05. 既存福祉ソフト比較分析
ほのぼのNEXT・HUG・カイポケの3ソフトについて「できること・できないこと」を整理。AIで補う領域を特定しました。
06. 区分6特化 アセスメント構造分析
医療的ケア記録と微細アセスメント(表情・姿勢・呼吸の観察記録)の全体構造を分析。記録設計の根拠資料です。
【Phase 2】業務フロー分析(1点)
07. 3事業横断 業務フロー可視化マップ
生活介護・放課後デイ・グループホームの1日・週次・月次業務の全体図。どこに重複があるか、どこがボトルネックかを可視化しました。
【Phase 3】戦略・設計(4点)
08. 記録業務 効率化設計書 ⭐
音声入力の活用方法、AI文章補助の導入手順、テンプレート設計の具体的な実装ガイド。現場の記録改革を始めるための設計書です。
09. 加算・補助金管理 自動化設計書
処遇改善加算の月給充当計算ロジック、Excel(表計算ソフト)シートの設計、補助金申請カレンダーの設計。返還リスクを下げる仕組みです。
10. 職員採用・定着戦略書
バーンアウト(燃え尽き症候群)の防止策、ICT(情報通信技術)教育プログラム、鳥取県という地方での採用戦略を設計しました。
11. 月商拡大戦略書
利用者獲得の具体策、相談支援事業所(地域の福祉調整役)との連携強化、3事業間の利用者導線を設計。
【Phase 4】コンテンツ生成(3点)
12. 採用・ブランディング発信戦略パッケージ
Instagram(写真SNS)での採用発信、求人媒体の改善、事業所通信のメッセージ設計と運用フロー。
13. note記事10本(福祉×AI活用)
「区分6の記録改革」「福祉ソフトの隙間をAIで埋める」「報酬改定解説」など、すぐに公開できる10本の記事を執筆。事業所の対外発信の即戦力です。
14. AI導入30日ロードマップ
Day 1から30日目まで、チェックリスト形式で「記録→加算管理→採用」の3段階AI実装を設計。明日から動ける具体的計画です。
【Phase 5】品質管理・統合(3点)
15. 業務一気通貫アプリ 要件定義書
機能要件、画面構成、データ項目、優先度、概算工数を含む仕様書。開発業者に渡せば見積もりが取れるレベルで作成しました。
16. 区分6対応 日次記録シート&アセスメント帳票
印刷して手書きで使える帳票5種。日次記録、アセスメントチェック、夜間記録用など。明日から現場で使えます。
17. 総合戦略レポート
全16名の成果を統合した最終戦略書。加算取りこぼし診断の結果、記録改革の設計、採用戦略、月商拡大計画を1本にまとめています。
これを外注で揃えたら、どうなるか
考えてみてください。
障害福祉の制度調査と報酬改定分析を社労士に頼んだら、数週間。
3事業の業務フロー可視化をコンサルに依頼したら、1〜2ヶ月。
記録効率化の設計を福祉専門のITコンサルに出したら、数週間〜1ヶ月。
加算診断チェックリストを行政書士に作ってもらったら、数週間。
アプリの要件定義書をシステム会社に依頼したら、1〜3ヶ月。
合計すると、3〜6ヶ月。
費用もそれぞれ数万〜数十万の積み上げになります。
エージェントチームは、これを数時間で仕上げました。
17点。規制業界対応。現場帳票つき。
納品後、Kさんがやること
ここから先は、Kさん自身の手に委ねます。
最初にやることは5つだけ。
① 加算取りこぼし診断チェックリストを今週中に自己点検する
1枚のチェックリストで「Yes / No / 確認中」をつけていくだけ。2〜3時間で終わります。ここで見つかった取りこぼしは、即月商改善に直結します。
② 処遇改善加算の月給充当計算をExcelで確認する
令和8年度改定の新要件に対応できているか。手作業の計算ミスによる返還リスクを潰します。
③ 1人の職員に音声入力を試してもらう
全職員に一斉導入しない。まず1人。スマホの音声入力で支援中のメモを残してもらい、感想を聞く。ここから始めます。
④ AI導入30日ロードマップのDay 1から始める
Day 1〜3は現状把握。数値の確認とメモだけ。大きな作業は不要です。
⑤ 要件定義書を開発会社に見積もり依頼する
仕様書が完成しているので、そのまま渡せます。複数社に出して比較してください。
業界が変わっても、見つかるのは構造問題
第1弾は占い業のHさん。9点納品。
第2弾は民泊・レンタルスペースのOさん。12点納品。
第3弾は金融教育のAさん。20点納品(コミュニティ限定公開)。
第4弾はコンテンツ販売のSさん。16点納品。
第5弾は障害福祉のKさん。17点納品。
業界はまったく違います。
でも、チームがやったことの構造は同じでした。
業界の制度を調べる。
業務フローを可視化する。
ボトルネックを特定する。
改善策を設計する。
実行計画に落とす。
ただ、業界ごとに「見つかる問題」が違う。
占い業では「集客動線の不在」。
民泊では「月94時間の手作業」。
金融教育では「規制リスク」。
コンテンツ販売では「戦う場所そのものが間違っている」。
障害福祉では「記録業務が職員を潰す構造」。
これは、外からチームで入らないと見えません。
当事者は毎日やっているから、構造的な問題に気づけない。
今回は特に「規制業界」でした。
法令で記録義務がある。報酬改定で要件が変わる。
県独自の補助金制度がある。
「規制があるからAIは使えない」と思っている人は多い。
でも第3弾の金融教育でも、今回の障害福祉でも、
規制業界ほどエージェントチームの分析が刺さる。
規制が複雑だからこそ、人間が全部を把握するのが難しい。
そこをチームが埋める。
あなたの業種でも、同じことができます。
📚 公開実演 全10弾の総まとめはこちら
業界が変わっても、本質は同じ。
AIエージェントチームが10業種で見つけた「構造問題」マップ
占い・民泊・金融・コンテンツ販売・障害福祉・伝統工芸・楽天・Amazon・eBayの10業種・170点超の納品物から見えた、業界を超えた共通する3つの構造問題をマップで全公開しています。
追伸
今回の案件で一番印象に残ったことがあります。
Kさんが最初に求めたのは「アプリ」でした。
全部をひとつに集約する、業務一気通貫のアプリ。
気持ちはよくわかります。
「何か一発で全部解決するもの」がほしい。
でも、チームが見つけたのは
アプリ以前の問題でした。
記録様式が最適化されていない。
取れるはずの加算を取りこぼしている。
業務フローの重複が可視化されていない。
これらを放置したままアプリを作っても、
「非効率な業務をデジタル化しただけ」になる。
道具を変える前に、設計を変える。
設計が変わってから、道具を選ぶ。
この順番は、どの業界でも同じだと思います。
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