AIに渡すべきは戦略ではなく、集計作業だった

どうも、Kazuです。

AI活用の相談を受けるとき、経営者の頭の中には、だいたい共通したイメージがあります。

新しい戦略。
斬新なアイデア。
自分では思いつかなかった一手。

「AIに事業を見せたら、そういうものが出てくるはず」という期待です。

もちろん、それも出てきます。
でも、実際に一番喜ばれるのは、そこじゃなかったりするんですよね。

初回セッションで一番驚かれたこと

先日、年商数億円規模の物販事業を営む方と、AI活用の初回セッションをしました。

これまでAIはChatGPTやGeminiに、思いついたことをたまに質問する程度。
本格的に使ったことはなく、何度か試して途中で挫折した経験もあるとのことでした。

初回はまず、環境を整えるところから始めます。
注文履歴、広告レポート、決算書。
事業のデータを、AIに渡せる状態にしていく作業です。

ここまでは、よくある流れです。

驚かれたのは、その後でした。

出てきたのは戦略ではなく「その集計、AIでできますよ」だった

セッションの中で、雑談のように出てきた話がありました。

毎月、売上データをダウンロードして、原価を入力し、経費を差し引いて、利益を計算する。
その結果をもとに、外注パートナーへの報酬を確定させる。

この作業、社内のパートさんが毎月手作業で行い、間違えられないからと二人体制で二重チェックしていました。

本人としては「これはただの経理作業だから」という感覚で、AI活用の話とはあまり結びついていなかったようです。

でも、これこそAIが一番得意な仕事です。

決まったルールで、決まった手順を、間違えずに繰り返す。
これは、戦略を考えることよりも、AIにとってずっと得意な領域です。

「地味な作業」ほど見落とされる理由

なぜこの手の作業は、AI活用の話から抜け落ちやすいのか。

理由は単純で、「地味すぎて、わざわざ相談するほどのことだと思っていない」からです。

広告費が漏れている。
商品ページの反応が悪い。
競合に価格で負けている。

こういう「困りごと」は相談しやすい。
一方で、毎月なんとなくやっている集計作業は、困りごととして意識にすら上がってきません。

でも、実際に負担が大きいのは、往々にしてこっちなんですよね。
月に何時間もかけて、二人で確認して、それでも間違いが怖い。

この時間、事業を伸ばすことには一切使われていません。

AIに渡す優先順位を、逆にしてみる

AI活用の相談に来る方の多くは、順番をこう考えています。

①まず戦略を考えてもらう
②その次に、細かい作業も自動化できたらいいな

でも、現場で実際にうまくいくのは、たいてい逆です。

まず、毎月・毎週繰り返している地味な作業をAIに渡す
②その積み重ねの中で、事業の数字がAIに蓄積されていく
③データが溜まったところで、初めて戦略的な提案が的確になる

戦略は、いきなり出てくるものではありません。
事業の数字を継続的に見ているからこそ、精度が上がっていくものです。

そう考えると、集計作業のような地味な業務こそ、AI活用の一番手に置くべきだったりします。

まずは、一番地味な作業を書き出してみる

もし今、AI活用を検討していて「何から渡せばいいかわからない」と感じているなら。

大きな戦略から考えるのではなく、こう聞いてみてください。

「毎月、一番うんざりしながらやっている集計作業は何か」

それがおそらく、一番最初にAIへ渡すべき業務です。

派手さはありません。
でも、そこから積み上がったデータが、半年後の戦略の精度を決めていきます。

PS
今日もオフィスで作業をしながら、この記事を書いています。
毎月の固定費を払うたびに、「今月も、ここに何を渡せば一番楽になるか」を考える癖がついてしまいました。
地味な作業ほど、渡した瞬間の変化が大きいです。